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オシロスコープ(電子計測器)と関連の話題

オシロスコープの性能(3)デジタル・オシロの種類

デジタル・オシロスコープは動作原理の違いで2種類に分けられます。

リアルタイム・サンプリング・オシロスコープ(realtime sampling oscilloscope)は入力信号の基本周波数よりもずっと高い周波数でサンプリングしA/D変換する構造です。一般的に使われているデジタル・オシロスコープはこのタイプです。

もう一方の等価時間サンプリング・オシロスコープ(equivalent-time sampling oscilloscope)では入力信号の基本周波数よりもずっと低い周波数でサンプリングしA/D変換する構造です。このタイプのオシロスコープは波形情報を一気に収集するのではなく、同じ波形が繰り返すことを前提に、位置を少しづつずらしながら1点1点サンプリングする動作を繰り返し、最終的に波形全体を取得します。

リアルタイム・サンプリング・オシロスコープ帯域幅がA/Dコンバータの動作速度で規定されてしまうため、広帯域のオシロスコープには高速A/Dコンバータが欠かせません。設計思想にもよりますが、帯域幅の2.5倍から4倍程度高速なA/Dコンバータが使われます。つまり広帯域のリアルタイム・サンプリング・オシロスコープには超高速のA/Dコンバータが必要です。

等価時間サンプリング方式では帯域幅とA/Dコンバータの速度には制約がありません。このため数10GHzの帯域の信号を数100kHzのA/Dコンバータで捕獲します。このためA/Dコンバータのビット数も多いものが利用できます。なお、サンプリングのタイミングは精密にコントロールされる必要があり、サンプリング専門の回路(サンプラ)が重要な役割をもっています。

使い分けとして、過渡的な現象の観測にはリアルタイム・サンプリング方式が必須です。また超高速信号の観測には等価時間サンプリング方式しか選択肢がありません。一般的な利用にはリアルタイム・サンプリング方式のオシロスコープが使いやすく、広く普及しています。